スペシャル

大決戦!超ウルトラ8兄弟 製作日誌

2007年11月

11月1日(木) グリーンスタイル ハヤタのサイクルショップ

ハヤタのお店の撮影、ハヤタ、アキコは他のメンバー同様夫婦の設定。
それに、ティガとウルトラマンを結ぶもう一つの絆、レナこと吉本多香美さんが娘として登場します。
TV番組でも共演の多いお二人ですが、ウルトラでしかも親子役での共演は初めて。
撮影はダイゴが朝の出勤で立ち寄る(遅刻にもかかわらず)シーンからスタートし店内へ。
店内は、私生活でアフリカ好きな黒部さんにあわせて、アフリカンなグッズを散りばめた装飾を付加した。
撮影までその事を知らなかった黒部さんはロケセットを見て、
「ここの人はアフリカが好きなのかねぇー」とポツリ。
事情を知ると驚き喜ぶ姿が印象的でした。

午後からはFMのDJとして実況中継するレナの撮影。
港湾局の協力のもと、
日頃は横浜港の視察などに利用されている海事広報艇「はまどり」を利用し、海上での撮影を行う。

夜に入って少々天候が崩れ始めてきた。
本日のメインイベントとも言えるダンディー4の変身シーンの撮影が、ナビオス裏手の汽車道で行われた。
天候との追いかけっこで、バタバタと撮影が進行したが、予告や特報でごらんの通りの素晴らしい画作りに成功した。

11月2日(金) 多摩センター

ダイゴが徐々に事のあらましに気づき始め、レナに告白するシーンの撮影を行い、武蔵村山の病院へ移動する。
病院・廊下。
スケジュールが合わなかったアキの部分を除く。
廊下のシーンが撮影される。

11月3日(土)
今回のロケで最もお世話になった横浜市経済観光局観光交流推進課での撮影

ダイゴの職場である観光課の撮影は実際の場所と実際の職員エキストラで行われた。
ティガでムナカタ副隊長を演じた大滝明利さんが課長を演じ、TVシリーズさながらその堂々とした威風でダイゴを一喝する。
午後からは通常一般立入禁止の山下埠頭でのロケ。
一般立入禁止区域なため、山下埠頭で働く職員の方たちにエキストラ出演をお願いしてパンドンから逃げる人々の撮影を行い。
山下埠頭の突堤へ(こちらは更に通常の撮影許可が困難な場所を特別に許可していただいた所)散水車が用意され、「ブロンズ化したメビウス」にダイゴが訴えかける撮影。
海辺でしかも雨フラシの撮影、
そこには、凍てつくような寒さにも負けず。
後に合成されるブロンズメビウスに話しかける一皮も二皮もむけた俳優、長野博の姿があった。

11月4日(日) 横浜市役所全景、日本大通りでのダイゴの通勤風景を撮影

これまた特別許可を得た神奈川県庁屋上での撮影準備が始まる。
国の有形文化財にも登録されている1928年(昭和3年)竣工された県庁。
先の日誌でもロケ交渉の困難さに触れたが、幾度とない交渉の末、許可が下りたのは、撮影のほんの少し前、別の場所なども検討されていた頃だった。
この歴史的な建造物で撮影されるシーンは、これまた歴史的な変身シーン。
アスカと我夢の変身だ。
日も暮れて、ライトアップされた県庁屋上に二人の戦士がやって来た。
浮かび上がる威風漂う建物の迫力に負けないくらいの変身の掛け声に、近所から苦情が来るのではないかと心配したくらいだ。

11月5日(月) 観光案内

ダイゴの観光案内シーンの撮影。
エキストラ参加の外国の方々は地元横浜のグループの方たち。
三溪園、中華街、大桟橋、開港資料館と撮影され、特別参加の中田市長出演シーンの撮影の為
市役所へ。
対策本部が設置されている設定の横浜市役所。
そこで陣頭指揮をとるのが市長だ。
市役所一階に飾られた簡易指揮所、大勢のエキストラは全て市役所職員の方々。
何度もテストが繰り返され、万全の準備を終え、いよいよ、中田市長の登場。
大がかりな撮影と、エキストラが全て職員であることに驚きながらも、最初は緊張気味だった市長も、何度か行うテストで普段の調子を取り戻し見事な指揮官を演じていた。

11月6日(火) 大倉山記念館

別の世界に迷い込むミライの撮影と藤宮のTV内シーンがエキゾチックな雰囲気の建物を利用して撮影された。
北品川へ移動して昭和シークエンスの子供たちを撮って終了。

11月8日(木) 赤レンガ倉庫

キングゲスラ出現!
ウルトラマン第6話「湾岸警備命令」で横浜港の海底に逃げて行った。
ゲスラが復活して赤レンガ倉庫を破壊する。
当然、本編の現場では破壊されることはないのですが・・・
異世界へ迷い込むファーストカットでは360°の円形移動。
もどりのカットではモーションコントロールが利用され、緻密な合成カットが撮影された。

11月9日(金) 本牧

本牧にあるシンボルタワーでの撮影。
その後、横浜スタジアムに場所を移して、アスカとミライのシーンが撮影される。
久々登場の木之元亮さんのシーンなどが撮影されたが、途中、雨にみまわれ、残りのグランドでのシーンは後日にし、館内エリアで避難誘導シーンを撮り終え終了。

11月10日(土) 日活撮影所でのグリークバック撮影

臨港パークでの撮影を残している男性陣に先駆け、アキコ、アンヌ、夕子ら女性陣が次々と撮影完了オールアップとなる。

11月11日(日) 横浜国立大学

ダンディ4の活躍場面の撮影。 子供たちのエキストラ出演及び大学内での撮影の為、日曜日に行われた。
この前のシーンのつながり的には女性陣も参加するシチェーションだか、更にこの後のフラダンスシーンにむけて、女性陣らしく、準備をうだうだとしていて、男共は先に出発している内容にした。
これにより、このシーンで起こる奇跡的な出来事を目撃し驚愕するダイゴの心情を深めた。


横浜国立大学で楽しく昼食の時間を過ごすエキストラの方々とキャスト、スタッフの皆さん。

11月12日(月) ラストシーン

メモリアルパークに400名以上のエキストラを終結させ、横浜消防音楽隊を迎えての本作品のクライマックス。
宇宙船日本丸の出航シーンが撮影される。
素晴らしい天候、本作品中最も大勢のエキストラ。
ラストにふさわしい条件が全て揃った。
エキストラの方々の集結を待つ間に、横浜消防音楽隊の部分の撮影。
第一回の観光交流課さんとの正式打ち合わせから、どの位の時間が経ったのだろうか。
曲のことや隊列のことなど打ち合わせに打ち合わせを重ねた晴れ舞台だ。
生演奏の「ウルトラマン」の曲は素晴らしく、思わず「生きててよかった」という感動と達成感に包まれ興奮せずにはいられなかった。
これぞ映画、TVでは成し遂げることができないスケール!
テープカットのシーンでは、おなじみ鈴木プロデューサーとバンダイ久保さんのカメオ出演。
そして、横浜を代表する名士、藤木企業の藤木会長の出演とあいまって現場は、ますますヒートアップした。
さらには国連事務総長サワイ役で出演してくださった川地民夫さんはダイゴとの感動の再会時間は夢のように過ぎ去っていった。
後に日本丸はCGのものと置き換えられるカットなどもあり、興奮だけでは済まされない精密さを要求される撮影にもなった。
とにもかくにも、大成功を収めた前代未聞の一日だった。

11月13日(火) 港の見える丘公園

ダイゴとミライのシーン。
ダンディ4を訪ねたが散々な目にあったミライをダイゴが励ます。
そして、出現する怪獣。
久々のミライの変身シーン。
リラックスムードで始めたリハーサルに、「アスカと我夢の方が元気良かったなぁ」とヤジを飛ばすと、
「負けませんよ」とTVシリーズ終了後のブランクを一切感じさせない素晴らしい変身を見せてくれた。
この後、大桟橋に移動。
ダイゴとレナのシーンを撮影し、さらに移動、八景島シーパラダイスへ。
ダイゴとレナの回想シーンを撮影し、この日は終了。

11月14日(水) 日活撮影所にて

特撮も間近になって来て、怪獣が次々と納品される。
ほぼ一斉納品となった為、5体もの怪獣にスタッフ一同。
・・・「本編終わっても、まだ終わりじゃないんだよね・・・」
ミニチユアSETの舞台も完成して、SETには徐々にミニチュアビルなどが運び込まれてきていた。

11月15日(木) TVKテレビ神奈川

ウルトラQ万城目の佐原健二さん、ティガなどでおなじみ石橋けいさんのシーン。
手元だけの出演だが、カメラマンは鈴木プロデューサーが演じている。

横浜海洋基地に移動。
回想シーン明けの1カット目の自転車シーン。
こちらも一般立入禁止区域てはあるが、横浜らしい風情あふれる場所。
大型のクレーンを持ち込んでの撮影になる。

更に夜になり、
港湾管理の一般立入禁止区域、かみ新港埠頭において、本作の見せ場の一つ、ダイゴの変身シーンの準備。
舞い散る光弾に身じろぎもせず、変身するダイゴのカットでは、みなとみらいのホテルなどに囲まれている事もあり、爆発は全て合成処理される、これら爆発合成の馴染みを良くするため
現場では小さな煙を発生させる撮影が行われた。
現場で発生させた煙と爆発素材を絡ませ、あたかも本当に爆発したかのように、見せる合成カット撮影の基本となる撮影方法だ。
ひさびさにスパークレンスを握る長野さんはとても嬉しそうで、スパーレンス自体もTVシリーズ終了直後、長野さんにプレゼントされた。
世界でただ一つのものを今回の撮影の為、お借りした。
ずいぶんとガタがきていたスパークレンスを美術スタッフの手により、ブラッシュアップして使用された。
撮影にあたって、
この世界では観光課職員のダイゴ、覚醒したとはいえ、モーションまでやるのは やり過ぎなのではというささやかな疑問が発生、スタッフ全員での多数決となる。
「変身モーションをやった方がいいと思う人~~?」
「は~い!(全員)笑」とあっさり決定。
こうやって、実はTVシリーズでもやることが少なかった。
フルモーションでの変身となった。(笑
ホントの話です。

11月16日(金)

早朝3:30宿泊先のナビオス横浜で俳優さんたちの準備が始まる。
4:45出発、すぐそばの臨港パークにスタッフの姿がチラホラ。
辺りはまだ暗闇だ。
本編撮影終了まで約一週間となった今日。
特報などでもお馴染みになった8大キャスト横並び勢ぞろいのカットの準備が始まっていた。
後にも先にも、これだけのカットが撮影されるのは、もう二度とないだろう。
壮観な顔ぶれである、いつもなら感傷にふけったりする瞬間もあるのだが、
・・・さむい・・とても寒い。
スタッフ、キャスト縮み上がるような寒さの中、あの名カットは誕生した。
そして、寂しくなるが、
黒部進さん 森次晃嗣さん 高峰圭二さん 吉本多香美さん 斉藤りささん 橋本愛さんが撮影オールアップを
迎えた。

早朝撮影だった為、小休憩をはさみ、中華街へ。
山下町公園でのダイゴのシーン。
超特別な許可を得た媽祖廟での撮影に至り長かった1日を終える。

11月17日(土) 雑司が谷・鬼子母神

昭和の回想 駄菓子屋でのシーン。
駄菓子屋主人にピッタリはまった二瓶さんを迎えて、夏場のシーンを冬に撮影する。
ランニングシャツの子供たちもカットが終わるごとコートを着せられ、防寒し、作品中最も待ち時間が長かったカブト虫の撮影もこの日行われた。
世田谷・観音院別館に場所を移動。
ダイゴの家の回想シーン。
このシーンの締めくくりは庭先からの家族団らんの画からクレーンアップすると屋根の向こうに昭和の町並みが広がるというもの。
CG監督の渡部氏立ち会いの元、実際にクレーンアップして撮影を行う。
微妙なクレーンのブレが後々渡部氏を苦しめる。


鈴木プロデューサーと撮影の高橋創さん記念のワンショット

11月18日(日) 山下埠頭など

実景関係ロケ。

11月19日(月) つくば宇宙センター

長期に渡り交渉を続けてきたロケ地の中でも、すば抜けて交渉に時間がかかったロケ場所のひとつ。
約3か月に及ぶ交渉だった。
ダイゴ、我夢の「夢」の成果を表現できる日本で唯一の宇宙機関。
つくば宇宙センター。
ほとんどの場所が見学コース内での撮影だったが、彼らの「成し遂げた夢」を表現するには十分すぎるほどのバックグラウンドだった。
中でも、我夢と藤宮が歩く廊下の窓から見える機器は本物の宇宙ステーション。
そう、今では宇宙空間にある「きぼう」。
そして、ダイゴが身につけている宇宙服も本物。
「アルマゲドン」でブルース・ウイルスが着ていた宇宙服と全く同じ仕様のもの。
長い期間の交渉もこれだけの成果があれば、苦労も報われるというものである。
そして、
吉岡毅志さん、高野八誠さんも無事撮影をすべて完了。
本編終了が間近に迫ってきていた。

11月20日(火) 病院・病室

スケジュールの関係で残っていた。
病室関係の撮影。
かつて「帰って来たウルトラマン」では帰らぬ人となったアキ。
その様子をなぞらえるかのような、アキの治療風景。
本作ではいかなる結末が待っているのだろうか。
メグ役の松下恵さんは、お母さんより一足先にオールアップを迎える。
終了後ながーい時間をかけて横浜へ移動。
横浜市役所屋上 レポーターシーンの撮影。
「ウルトラマン伝説」2作目ては全編のナレーションDJを担当したマッスル力也さん緊張の為かNGを連発、本作NG最高記録を更新した。
この日のメインイベントは実はこれから。
横浜港から横浜スタジアムに伸びる日本大通りを封鎖しての一大撮影。
400にも及ぶエキストラを迎え、横浜映画史上歴史に残る、群衆シーンが撮影された。
さまざまな困難を乗り越えてきた横浜市内でのロケ。
この最大級の、そして横浜市内最後のロケーションもついに、このシーンをもって幕を閉じた。
心よりの感謝と敬意をこめて、ありがとう横浜。

11月21日(水) 横須賀 ベイスターズ練習グランド

アスカの回想シーン。
夢を追い求めていたアスカの過去が語られる。
ベイスターズOBでもある現寮長の稲川さんの球児に対する熱い芝居が披露される。
そして、つるの剛士さんオールアップ、お疲れ様でした。

11月22日(木) 日活撮影所

グリーンバック。
団時朗さん、榊原るみさんが完全終了を迎え、鶴牧東公園へ移動。
夕景ねらいで、懐かしいハネジローのシーンが撮影される。
実景を残して、全てのロケーションが終了する。
更に撮影所へ戻り、引き続きグリーンバック。
深夜まで作業が続く。

11月23日(金) 日活撮影所

グリーンバック。
本編最終日。
子役たち完全終了。
続いて五十嵐さん終了。
そしてやはり一番最後は長野さん。
終了と共に、ティガが登場。
本編から特撮へのバトンタッチが行われた。
撮影は続き、グリーンバック小物そして本編ラストはハネジローで締めくくられた。
本編クランクアップ皆さんお疲れ様でした。
11/27から特撮が始まる、がんばらねば!

11月27日(火)~11月28日(水) 特撮クランクイン

日活撮影所No11stをメインステージにして行われた。
初日はストーリーラインに沿って赤レンガ倉庫からスタート。
本来ならば、ゲスラが赤レンガ倉庫を破壊するシーンから撮影し、メビウスとの格闘へと撮影を繋げていかなければ、赤レンガ倉庫の壊れ具合を、きれいに繋ぐことが困難になるのだが、破壊のシーンでハイスピードカメラを使用して撮影しなければ、その迫力を最大限に表現出来ない。
(ハイスピードカメラで撮影したものはスローモーションで映像記録される)
カメラ使用のコストや、年内クランクアップというスケジュールを成功に導くためには、壊しビルの製作進行具合、大幅に時間のかかるSET全体のライトチェンジおよびミニチュアの飾り替え、他のスタジオを使用して行われる撮影に関わるSET回転、などを考慮し最も効率の良いスケジュールを組み立てなければならない。
それら全てを検討した結果、特撮の初日は赤レンガ倉庫が破壊されている状態からの撮影となった。
撮影初日にして最大の難関スケジュールをこなさなければ、ならなくなったわけである。
過去の劇場作品ではTVシリーズとの同時進行製作を余儀なくされていたが、今回は、劇場版単発となったため、TVシリーズを長年荷ってきたオール円谷プロキャスタッフの出演が実現し、殺陣もTVシリーズでお馴染みの岡野弘之が担当した。
赤レンガ倉庫の撮影は2日間にわたり行われ、予定分量を無事終了した。

11月29日(木)~11月30日(金)

前作までは大掛かりなミニチユアSET撮影後は現像所イマジカでのフィルムチェックを待ってから取り壊し、飾り替えを行っていた。
美術部であったが、今回はHD(ハイディフィニッション、ハイビジョン)撮影に切り替わった為、それらの「待ち時間」が不要となり、撮影終了後、即日、飾り替えが可能になった。
11stでの飾り替えを行う間の日程で、隣10stに撮影本体は移動し、小物関係やグリーンバックの撮影を行う。
この日撮影されたのは、各怪獣のイメージ部分とパンドン登場のグリーンバック。
グリーンバック撮影においての段取りも、特撮ならではの組み合わせがあり、背景が本編で撮影されたものか、特撮で撮影されたものか、あるいはフルCGか、そして大きく、あおる画作りなのか、俯瞰目の撮影かと様々なケースがあり、それらを整理し、セッティングを優先して撮影を進めていく。
通常、合成カットの撮影は背景の撮影から始まって、順番に前面の画を撮影していくため、背景撮影が済んでいないものは、前面に合成されるものを撮影することは出来ない。
これは、最終的に合成された画に不自然さを無くすための基本条件である。
その為、この二日間に撮影されるクリーンバックの撮影は、背景の撮影が完了している本編との合成カットが選ばれている。
つまり、ミニチュアSETにおいては、ある程度の物語の進行に併せた撮影が可能だが、グリーンバックの撮影においては必ずしもそのようにはならず、前後の芝居を想定しながら撮影していく事がほとんどである。

グリーンバック二日目は、本編撮影中から準備を進めていたブロンズメビウスの撮影。
かつてエースの時に製作されたものに比べはるかにクオリティアップが図られたことは言うまでもない。

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