あらすじ

新たな光の巨人は、圧倒的な破壊力で怪獣を粉砕した。だが、怪獣は続々と現れる。ダイナの敵は10kmにもおよぶ菌糸を使ってコンピューターを操るもの、攻撃を受けると2000匹もの分裂体になるものなど、これまで予想だにできなかった能力の怪獣が多く、人類の存在は、再び危うくなっていく。そして、宇宙からの侵入者も増えていく。だがこちらは、力のない宇宙怪盗や自己過信の知略宇宙人など、凶悪な者もいる一方で風変わりな存在が紡ぐエピソードも多かった。そして、人類を呪うかのような姑獲鳥や悪魔のごときビシュメル、恐れを糧とする古代の兵士モズイなど、まさに怪談のテイストや人間心理に踏み込んだ怪物までもが生まれる一方で、ときおりジュブナイルSF風なお話が顔を出す。「ダイナ」の前半はこのようにシリーズの個性を主張するのではなく、バラエティに富んだキャラクターで良質なエピソードを毎週積み重ねていくことによって作り出される作品全体の魅力を重視し、1本1本のお話のバリエーションの豊かさ、SFマインドの振り幅の大きさによってテレビシリーズであることのもう一方の魅力を追求しようという試みだったのである。

そんななかで、常に前のめりで進むアスカという主人公は有効であった。エピソードのカラーにとらわれず、常に彼のあるべき姿で物語を引っ張っていけるのだ。そして、リョウの存在。リョウはそれまでの紅一点的だった女性隊員像のカラを破ろうとした人物であったことは間違いなく、それだけにリョウが全面に出たエピソードも多くなっており、アスカとのロマンスもダイゴとレナとは明らかに違う、連帯感を含めての母性(光の内包する父性に対応しているのか)をも感じさせるものとなっている。それは、リョウがアスカより年上であることにも起因するのかもしれない。

「ダイナ」後半は、前半より宇宙への比重が高まってくる。宇宙が舞台になるエピソードが増えるというよりは、侵略者を含み宇宙由来のお話が多くをしめるようになっていくのである。そして、宇宙に光と共に消えたアスカの父を巡る人間模様、様々な趣向をこらした侵略者、人間に愛慕を抱くゆえに人間を憎む宇宙探査ロボ、まだ見ぬ地球に憧憬を抱く宇宙生まれの子供たち、そして、スフィアの登場など、個々のエピソードを重視しながらも、ダイナサーガは、終盤へと向かって広がっていくこととなる。

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